画 像 詩 集

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No15

母に連れられて歩いたお寺への道

死の意味などわかるはずもなく

幼さと、無邪気さと、無心さ

あの日も柿はたわわに実り

見上げる母の瞳に、涙溢れていたこと

知るはずもない母の哀しみ

あの日と同じ秋の空が広がる

蒼き空よ、哀しみの空

秋はもの想う空


2003.10.23




午後の陽だまりの中
思い出は菜の花の中や
コスモスの揺らぎ
ふるさとの夢
ふるさとのみかんの花、香る時
潮風吹きて
砂浜に捨てた気持ちがひとつ
なつかしきふるさとの夢

捨てきれない荷物の重さ
秋風にカマキリを眺める
潔く生きて、思いのまま
雲の如く生きる
水の流れる如く
低き所に集まる
風の如く去る
枯葉は落ちて
また、土へと戻る
今日の日に吹く風
明日の太陽

山より明けて
海辺へ落ちる夕陽

秋はゆく
ゆるやかに静かに
誰の心にも
通り過ぎてゆく

2003.10.21



風の行方
秋の風

行きたいところまで
行けるところまで

風の行方のままに
秋はこころ旅、草の花の命、はかなくて

草の実は、ぽろぽろ落ちて
秋深く

ススキは風に揺れ
雲はるか

風は落ち葉を遊ばせる
秋はさらさらと、こぼれゆく

幾重にも、重ねて丸くなる
一度だけ開く喜び
人もまた、一度だけ

生きるということ
一度だけ

200310.14



あの夕日の向こうへあった想い

あなたの心の中で結ぶ

心と心を結ぶ
ゆるやかに結ぶ

もう、きつく結ぶ必要がないのだから
ゆるくていいのだから

もも色
みず色

そっと結んでみる

あなたの心の中で
私の心の中で

ほどけることのないリボンを...

輝く夕日の想い
夕日と心を結んでみる

2003.10.12




流されて
いくつもの川に流されて

ここまで来た

激しさの、優しさの流れ

海へ出る前は、もうきっと
穏やかな流れ

いっぱいの流れを知って
人は辿り着く

ゆるやかな
穏やかな

そんな、流れ

2003.10.2




蒼き、空よりの使者
秋の風
そよぐ花びら
懐かしの想い

聞こえますか

あの頃の歌
若き日のあの人

過ぎ去り日よ
通り過ぎていく風よ

あの日の
自分に戻りたいなんて
そんなわがままが
心よぎる

蒼き、蒼き空です
優しき花びらです

2003.9.27




あの日の秋桜、揺れていました

遠い日のそよ風
揺れて、揺れて

心、なくしそうな想い

あの日と同じ秋桜揺れています

たったひとつ
あの人が好き
どうしようもなく好き

香り届けてね
私の香り
風に乗り

今日の日も風に揺れている

あの日の私のように

2003.9.20