画 像 詩 集


hakaseさん撮影


散っていくから美しい
こわれるから愛しい
別れるから深まる

人として、永遠の別れは
一切が無常...
それゆえにこそ
生きているものすべてが
切なくて、尊い





はななさん撮影

- 両手 -

両手で、支え、握り、受ける
両手の愛、両手の情け
両手で持ったら、壊れない

両手で受けとめて、生きていけたならば...
両手で支えあい、生きていきたいですね....




hakaseさん撮影

花は無心に咲き、風は流れ、
1本の大きな木は、
その幹を
その葉を
その花を
その実を作ってくれる。
根は、見えないところで、私たちに力を見せてくれる。

見えないものを見る目を持ちたい
見えないものを知る心を持ちたい

生きることの むつかしさ
生きることの ありがたさ
生きることの うつくしさ

生きていくことの 喜び

命のうたを、自分なりに歌えたら
それだけで 充分...






-願い-

人は、生きて行く
最後の時まで

たゆまず、おこたらず、あせらず
急がなくてもいい

時には、廻り道しても
ゆっくり、ゆっくり

生きたいのです
二度とない人生...

一輪の花、一羽の鳥、一匹の虫でも
慈しみ、心して生きて

二度とない人生だから
自然からの贈り物

登る太陽、沈む夕陽、まるい月、かけてゆく月
四季それぞれの星たちの光をもらいながら

生きていけたならば...






-花のように-

何にも持っていない
無一文のように、何にも持っていないから

ただ、咲いて散っていく
悔やまず、嘆かず、ためらわず

すべてを任せ
花のように身軽に生きたい
そして、積み重ねの果てに咲く花

積み重ねの果てに
熟する実
それは、美しく輝く



soraさん撮影

小さい頃、よくかんでいた親指

遠い日のこと...ひとさし指で
あの人の名前を 何度も 書きました

いくつも いくつも 手紙を書いて
書いては、破ったあの頃...なか指のぺンだこ

目がしら つよく おさえて 涙をふいた くすり指

ためいきついて ながめた 小指 やせていた






 花びらが、まるでフリルのスカ−トをはいているよぅ...
幼い頃母が縫ってくれた
フリルのスカ−ト
  
   嬉しくて、嬉しくて、くるくると回り、飛びはね
   外に遊びに出たわたしは
    ブランコに乗り、よろけて落ちた
      雨上がりの水たまり     
 ドロンコになったスカ−トで

  泣きながら帰った あの日

   フリルの黄色いスカ−トでした

           


清水さん撮影

やさしい雨上がり
微笑んで花開きました

これからは、雨の色は
ますます綺麗になると
花たちがつぶやきました

病院のそばに立つ、大きな楠の木
葉を震わせながらいいました。
今夜、ここから見える窓の中で
泣くことがありませんようにと..





hakaseさん撮影

今までは
やさしい色
やさしい香り
優しい言葉
そんなことは、気づかずに
季節が流れて

日めくりのカレンダ−をめくる。
今日の日をありがとう
明日は、いい日ですか
やさしい色、やさしい香り、優しい言葉に
あえるでしょうか。




弘子さん撮影


あの日の朝、台所から匂いたつ、
母の作るお味噌汁の香り

この部屋ともお別れ、机、椅子、鏡台...
ふいに、懐かしさがあふれる。
こみ上げてくるものを、あわてて抑えたわたし。

24歳の春..

嬉しさと、喜びと、不安と、楽しみと、とまどいと
ごちゃごちゃの心が

心にあふれて、瞳に涙がいっぱいになる...
母の声に、小さく返事をして
さりげなく起きた
あの朝

やっぱり、梅の花が咲いていました。




hakaseさん撮影

−なごり雪花の涙となりて何想う−

涙色の空の向こうには
何があるのでしょう

過ぎた日を追いかけ
涙した、あの日

いくつもの生き方があるのに
そのことだけしか見えなくて
そのことだけしか想えなくて

いくつもの涙は
いくつもの色となって
そして
消えていく


shin9nさん撮影

生きていくことも
人の一生も
自分さがしの旅

あの日、あの時
こうすれば...

あの日、あの場所で見つけた偶然
そして、人として生きてきて

やっぱり、どこかで自分をさがしている。
自分さがしの旅を終える時

これでよかったのだと...
そう、想える人生でありたい

そう、想える人生を終えたいのだと...




人は、誰も生まれた時は、白いこころ
誰でも、白いこころ

ずっと、ずっと白いこころで
いることはできないから

いろんな色に染まっていく....
誰しも白いこころでいたいと思うのに
それができない...

人にやさしく..自分には厳しさを
そうすることで、そうできることで
白い色に戻れるのでしょうか...

人をいたわり、自分には厳しく
白い色に戻りたいと願います。

一日の終わりに
ほんのわずかでも
白い色が見えたならば

ありがとう....

そう思います。






花sumiさん撮影

朝露が光る
美しく光る
草の葉に光る

すべてのものは、土で育てられ

木も草も、わたしたちも
土がなければ生きていけない

土には、匂いがあり
しみじみとやさしい匂い

幼い頃にかいだ泥遊び

見なれた色、聞きなれた音、かぎなれた匂い
すべてを包みこむものが
いとおしいと思う

春の訪れです






cyacyaさん撮影

空が冴え渡り、日差しがまぶしい
梅が満開
時間が止まればいい
過ぎゆく時間が、いとおしい
ふと
時間が戻ればいいのに..そんな気がして
誰もが通っていく道

人を好きになり、出逢いがあり、別れがあり
そして、優しさに包まれて
季節が過ぎてゆく

巡りくるこの季節は、たくさんあるけれど
この春は
たった一度の
今年だけの
この春





soraさん撮影

ふるさとの海
ふるさとの空

見なれた色
聞きなれた音
潮風の匂い

ふるさとには、嬉しさと涙がありました。

いくつもの自然と、いくつもの季節を過ごして
躓いたり、迷ったり、行きすぎたり、ためらったり
生きていることが、つらくなったり

みんな、通っていく道は同じ..
人は、老いて、そして同じところへ帰って行く...

今、生きて生かされて、過ごしていくことが
過ごしていく時間がとても、大切に思います。

なにも、りっぱに生きていかなくもいい。
自分なりに生きていけるだけで..
それだけで...いいと思う日々です。