画 像 詩 集Y





風、ほどよく吹いて秋の風

草はさらさらなびいて

コスモスは、ユラユラと揺れ

一輪咲いてまた、一輪

雨ならば、雨に濡れ

雑草なれば、そのままに生えて咲いている幸福

朝のひかりへ種を蒔いて、また飛んで行く

歩けば、草の実、拾えば松ぼっくり

青空の下

秋は高く、高く通り過ぎてゆく


2002.10.21




コスモス揺れて
時は過ぎ、季節は流れて
私は旅人

過ぎ去ったことは、遠い日
泣いて、笑って過ごした日々

けれども、すべては流れゆく

雲の流れるままに
海の波の彼方に

これからのこと
これから生きること

それがすべてだと思いたい

太陽は必ず迎えてくれるから
夕陽は必ず顔を見せてくれるから

コスモス揺れて
私の心も揺れている....

2002.10.13





可愛い花びらが

くるりくるりと歌いだす

涙のような心の雫が

落ちてくる

内緒にしてね...

やわらか過ぎる花びらの

やわらか過ぎる愛を残して


花びらが歌い出す


2002.10.8





コスモス揺れて風渡る 

淋しさと、愛しさと、切なさと、思いやり
そんな色したコスモス可愛くて

過ぎていくのね、何もかも...

あの日の泣いた私、笑った私
いっぱいあって生きている

生きていることは、旅すること
これからの旅をゆっくりと過ごす日々

風がゆっくり流れるように..
雲がとけてゆくように...






そっと、横顔を盗み見た
若い、若いふたりがいて

何もいらない
何も考えない

ただ、逢っていることが喜びだった

海を見ても、夕陽をみても
思うのは、あの人のこと
そんな若い日の恋

誰の心にも密かな思いはありました
あの頃の情熱はないけれど

思い出を紡ぐことはできる
ひそやかに、そっと....



2002.9.29





あの日の想いは屋根より高く

空に届くように想っていた

もうコスモス揺れて

何もかも、遠い日

恋なんて、呼べない日

何もかもが、まぼろし

あの日のこと
過ぎたこと

ぽっかりと雲に浮かんでいる

遠い青春の日々...

2002.9.20





花の下にいて
今年の花
去年の花

はるかな
春の花
夏の花
秋の花

花は幾度咲き
幾度散ったのだろう

今年の花の下にいる

これからもずっと
この花のように

ここにいて
そっと、咲き続ける
自分なりに

ひっそりと...


2002.9.13




ひとつの約束

いつも明るくね
いつも笑っていようね

哀しみ、悲しみ、かなしみが
いっぱいあったら

笑えないよ

伝えられないこと
言えないこと

いっぱいあり過ぎて

でも、約束だから
言えないよ

ひとつの約束

今は守れないよ


2002.9.9




光と影と風が揺れている

いろんな思いが流れて漂う

いろいろに構成された世界は

無限に広がる

あの空のきらめき
あの雲の優しさ

人は眺める

いつも何かを求めて

やわらか過ぎる愛を求めて

人は眺める

               cyacyaさん撮影


2002.9.7



コスモスは何も知らないよね  
出会ったのは秋ではないから  

ちっぽけなふたりだから  
やがて見えなくなったよね  

瑠璃色のグラスに入った  
炭酸水のように  
泡が消えたのね  

今は水平線の向こうにいるのよね  
聞こえてないのよね  

泣いたこと  
楽しかったこと  

花びらが  
はらはらと歌いだす  

涙のような心の雫が  
落ちてくる  

コスモスは何も知らないよね
  


2002.8.29



 悲しみ、喜び、楽しみ
 いっぱい、いっぱいあって
 生きている

 ひとりひとりの生きていることは
 小さなことだけど
 それでも生きている

 何もかもが、小さな出来事
 けれども、心に残った思い出だけは
 消えることのない映画

 ひっそりと、いつまでも上映されている
 モノクロのようになっても
 消えることのない思い出

 幼い日の私がいて
 輝いていた青春の日の私がいて
 何もかもが遠い日

 心に映る映画館
 そっと、眺めてみる...

 


2002.8.28



私たちが暮らす星は少し傾いています。

傾いたまま回転しています

皆、とても急いで歩いています。

いい人生に気づかずに

通り過ぎていきがちです。

あなたがもし、夕日を浴びて

一日の疲れが癒されたら

夕日に祈る人たちがいたこと

思い出してください。

雲を燃やし、大地を溶かし

夕日が沈みます。

最初に見えた星が願いを叶えてくれる星

あなたの夢を叶えてください。


2002.8.28






逢いたくて
逢いたくて
でも逢えなくて
 
どんなに思っても
遠い人
 
風に流れて行きたいよ
遠い空の向こう
あの人の腕は温かいの?
 
思ってみるだけ
そっとつぶやいてみるだけ
 
切なくて
切なくて
 
逢いたくて
この気持ちは
雲に流れて行く
 
逢えた日に
逢える日に
 
精一杯の気持ちを伝えよう
 
逢いたかったのよと...
 
お願いよ
私を見てね
私を忘れないでね
 
ここにいること
ここに生きていること
 
遠い空の下
 
あなたに逢いたいって思っている
小さな私のこと
 
どうか
ほんの少しでいい
あなたの心が欲しいのです

2002.8.13







tarouさん撮影


今という時間をここに生きる

1本の木のように、太陽に向かって生きる

足には大地を踏みしめて

今を生きていることを

深く感じたことはない

けれども、毎日が過ぎてゆく時間を思う時

今という時間をもう一度確かめてみる

自然は、いつもいつも優しいばかりではない

けれども人は、どんなものにも乗り越える力を持っている

持っていると思うから、生きていける...

真昼の光の下では

誰にでも平等な太陽が輝く

2002.8.6








青い海と、白い雲

光と溶けこんで

蒼く、蒼く輝く海

海の広さにくらべたら

私たちはなんて小さな存在でしょうか

小さな存在なのに

この命はなんて重いのでしょうか

太陽の恵みは、分け隔てなく

降り注いでいる

明日という日も、きっと

輝いている

海の色

その美しさは心に映り込む

2002.8.6







cyacyaさん撮影


遠い日に人を好きになったこと

思いは伝えられなくて

この花のように

うなだれて、密かに思ったこと

心震えて思ったこと

遠い日の私がいました

花たちはどこまでも優しくて

優しき花びら

心ふるえるような

優しき花びら


2002.8.1







Tarouさん撮影


薄もやの中
ひとり佇めば

愛しき過ぎた日々

何が本当で、何が嘘なのかわからない

薄もやの中にいた私
何も知らない私

知らないことがいい時もある

遠き日の私
切なさと、恋しさと
胸に抱いた、若き日

もう一度
あの愛しさを

心でそっと
ふれてみる...


2002.7.24






cyacyaさん撮影



まわりの木々に抱かれて、静なるもの
 いつも穏やかに

睡蓮の花咲く幽玄の世界

ここにいることが本当なのか


ここにいるのは違う自分なのか問いかけてみる

応えは自分の心の中にある
自分だけの道...続く道をどこまでも追いかける


過ぎてしまってわかること
人として生きてきたこと

自分なりの生きかた
問いかけてみる...









花には

散ったあとの
悲しみはない

ただ一途に咲いた
喜びだけが残っている

まんまるく咲いて
まんまるく散っていく

まんまるような
花の気持ち
花の色

いつも
追いかけて
探している

きっと、ずっと
探している
生きている限り

2002.7.11











- ぬくもり -

この生きている世界が平安でいて欲しい

人皆、心穏やかでいて欲しい

ひとりの祈りが

すべての人に伝われば

争いは起きないはず

一字の言葉 命

花ならば 一輪

すべてのものを愛しむ

生きていることのぬくもり

人に対してのぬくもり

花へのぬくもり

持っていれば、争いはないものを...



2002.7.11





ひととき

レ−スのカ−テンが風にやさしく揺れる
いつもの風景

思い出扉をゆっくりと
押してみる

友の便りが途絶えて
もう長い

時間が、ゆっくりと過ぎてゆく

青春時代の
私はもういないけれど
心の中の
青春を思い出すことはできる
あの日、あの時の偶然の出会い
ここにいる自分が
幻で
もう一人の自分がどこかに住んでいるような
錯覚

何気ない時の流れが止まる時
ふと、違う自分を捜してみる

そこには、見たこともない
自分が住んでいる

そんな幻を追う
ひととき


2002.7.6