短 歌  俳句 

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2003.3



手のひらの花びらひかりすくい見て
こぼれ落ちゆく想ひ幾たび

さくらんぼ実のなる頃よ愛がある
鳥へやさしき静かなる木よ

ユキノシタうぶ毛なぜみる夏は来る

2003.4.29



夕暮れはあなたの息みるためらいて
小さきまぼろしまた夏が来る

疾風よみどりなす日よ若き日は
ときめき過ぐるやすらか思ひ

しのつく雨激しき好きと伝えし日
今はもう見ゆ見えざりしもの

2003.4.25



春はゆく水面花びら流れんと
たましい抜けた日しずけき桜

芝桜ちいさき白や小宇宙

一片の雲ちぎれたるはつ夏よ

2003.4.24




今日の日を雨あたたかき髪梳けば
雫光りて白き山吹


雨あがりツバメの躯(むくろ)土に帰す
旅路は終わる忘れな草咲く


夏近し麦の穂は揺れたをやかに
風が明るい里の道ゆく


2003.4.21



涙ぐみ見つめていれば花みずき
白さの中に過ぎし日溢ふるる

はつ夏の風吹く丘よ愛らしき
桃の花見る雲のしずけさ

2003.4.19




帰り道ため息ひとつ満ち潮に
水満たすごと夕闇はくる

花がらを摘みし手のひら眺め見る
母の手に似る春風の吹く

あたたかき雨に濡れゐる桃の花

ためらいてありし心よカイドウの
水のほとりの風のささやき

2003.4.17




春の海麦の穂広がる案山子あり

義母の爪切ればうなずく幼子よ

春花の下ゆくツバメ蒼き空

2003.4.10




今宵咲く桜よ桜何想ふ

しずかなる蒼き心の義母なりて
眼に澄ましゐる桜散りゆく

義母の問いなめらかに嘘いいつつも
波はざわめき春雨の降る

2003.4.8




空を背に桜よ桜心埋め
花の空間蒼き空見ゆ

菜の花の和え物作る届けたし
義母の口へと美味しさひとつ

明日想ふ痴呆よ止まれ時流れ
春の雨ゆく黄色の傘で

2003.4.5