短 歌  俳句 

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流れゆく時を惜しみて若葉揺れ
藍の海なり瀬戸は輝やけり

蒼波の夕暮れひとつ眺めいて
父よ母よふいにこひしき

瀬戸の海見せたき父は何処なる
とはに還らじ雲の果ていて

2003.5.31



海の風薔薇よ芽吹けば瑠璃の空
花咲く庭に朝のすがしさ

燃ゆる海夕陽の果ての波さわぐ
明日咲く花数えつ待ちて

青葉風頬に受けゆく急ぎ足
待ち人ありて305のドアを押す

2003.5.30



あの空へ蒼き種蒔くひとり花
愛しき言葉過ぎ去りし日よ

あたらしきペ−ジをめくる今日もまた
この日の笑顔君に捧げん

ひつじ雲東の空へと移りゆく
文よ届けよ遠き日の風

かそかなるセピアの日々よ風に舞ふ
心ほのめき頬そめた日よ

2003.5.26


ラムネ飲む幼き日ありはつ夏よ

天空をながるる雲よ何処(いずこ)なり
さやけき風よ山吹散る里

暁の海に漂う思ひあり
夏近づきてながき風音

2003.5.23



夕焼て空一筋に明るさよ
しずけき心飛行船ゆく

雨去りて夜ふかくかほる花ありぬ
なまめき濡れてひとひかりなり

見上げれば星またたきて文を書く
文字のみ届く紅き花添えて

この花よ君に散りゆく深き闇
おもひ残していまひとめ見む

夏帽子ななめにかぶり草の陰
うつむき探す遠き日の声

2003.5.20



永き日風の光りよ山路ゆく

口紅は少し濃いかな薄暑来る

うなじ手に髪束ねつつ春の雨

2003.5.19



青葉ゆれ一夜の雨よ緑なす
なみだの粒よ何思ふなり

春雨にぬれている顔カイドウの
薄紅色よ頬にほしくて

くれなゐの薔薇のかさねよあつき色
歌を詠みたきくちびるよせつつ

2003.5.15



花片のひとえひとえに星沁みて
蒼き月夜のひとり散る花

ゆめの人儚きおもひき閉じ込めて
潮騒聞こゆ波はゆれつつ

薔薇散りぬしのつく雨よこころふる
髪梳いており花花濡れて

2003.5.14



 風薫るうれしの夢に人遠き
朝もやの中黒髪流さむ

 七色の恋ふる頃よ麦の秋

ゆびさきに桃の色ぬる夏開ける

2003.5.10



海に湧く風の色なり藍色は
ひかり集めて夏を呼ぶ空

白藤よせつなきまでの重き房

若葉あり直立の雨はげしさよ

風薫るふらここ思ふ水ぬるむ

2003.5.8



言の葉よ愛しき言葉ふたりなら
交わすことなく菜の花は揺れ

初夏の雨ふりくる空よソテツの葉
濡れてゆらぎてさみどりの中

緋のつつじいのち濡らして降る雨よ

2003.5.4



しずかなる風の中菜の花は
揺れて空蒼(あお)心なるかも

あこがれの時は過ぎゆく白ミズキ

月明きひとつ過ぎゆく想い出は
砂こぼれるよこころ砂なり

2003.5.3



この夏のひかり見ることなき伯母は
安らかなりて雲とたわむる

夕映えに菜の花見えて逝きし人

一面に花ひるがえる初夏の風
素足になりたい素直になりたい

2003.5.2




綿毛飛ぶ夕暮れ路よ春も飛ぶ

夕風に抱かるる如くツバメいて

洗い髪冷えつつ過ぎる春宵よ

2003.5.1