短 歌  俳句 一行詩 

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ささやきを伴うごとく降る雨の
遠き紫苑よはかなさの夢

さくらばな地ににほひ立つ夕暮れて
この星にゐるあなたとわたし

闇の中さらさらと散る桜花
止まるをしらぬただはらはらと

夕光まぶしく中に花みちて
しだれ桜よ輝きを垂る

2003.3.30



手ばなしの春にゆれながら私はひとり水のほとりに佇んでゐる

旅おもふネットの時刻表眺めている春盛り桜花散る窓辺に小鳥

まさをなる空より見ゆる寒桜

花冷えて頬冷えて桜花咲く散歩道青き空よ白き雲よ時流れ

2004.3.27



温かき風にかたむく凪の海
船帰り行く春ひとつ落つ

海上に拳(こぶし)の雲よ夏光る蒼き波の船路(ふなみち)夕暮れて

陽にすかし葉脈がみゆる春日差し
やはらかくもの言う君がいた空

2004.3.23



ラシャ鋏母の手にある雪の日に
制服を縫う左ききなり

雪降りに眺めているよ江戸切子

雪灯りほのぼの見ゆる雛のかほ

父母の分まで減りしすりこ木よ
豆腐はつぶれて春の雪降る

春宵(しゅんしょう)に白きワインひとりいる

遥かな日柱時計の音を聞く
七つのしずく静かなる朝

2004.3.21



風さそふ触るるばかりの春の月

梅の花海青ければ波に散る

菊白く遺影の前に匂ひほのか

無心なる花と眠るよ犬の顔

風の道花木瓜咲いて月光る

2004.3.15



優しさの風恋しさの風人を想う風の吹いた頃恋風の吹いた頃

春の雲何かの予感ありし頃

涙の訳をくれないか便りは届く遥かな日雲ひとつ流るる春の空

花を詠む心ひとつの花今日もまた風に揺れる気持ちのままに

手を高く上ぐ線路の向こうの若き君セ−ラ−服が笑っている

2004.2.26



瀬戸風吹けば春が見えてくる凪の海うららか風ならば

ひとつの心小さき瞳愛する気持ち通じ合う春風吹けばなお

こころ雪積もれば見ゆる面影よ
白き便箋言の葉詰めて

はらはらと雪の華散る長き髪
君が触れ見る夢は儚く

2004.2.24



心の奥の眼差しひとつ見つめたい遥かなる日の燃ゆる日よ

梅咲けば春はこぼれて瑠璃の花小さきため息つぶやくこころ

淡き色うららかな春言葉探しの散歩道寒緋桜の固さ確かめて

夢惑う遠い日のことひとつある心言葉は散りゆく桜よ桜

2002.2.21



かじかんで凍てつく庭に寒菫
頬にも刺さる風花の舞ふ

ふいに思い出すセピア色の散歩道父といた路つくしある

手に取って何気なく嗅ぐ林檎ある春の日差しの台所いて

ふるさとの風の中にいる父と母幼き私の髪を撫ぜ

2004.2.7



耳の中に流れし泪あったこと忘れじの春風の吹く

丘に立つ山鳩鳴きゐる夕闇て
ひとつの祈り風のまにまに

パンジ−の明日咲く蕾もも色の
オルゴ−ルの音聴くひだまりの午後

まだ開かぬ蕾梅の花幼き日の詩かくれんぼ思い出の詩

2004.1.30



片恋の想いのようなちぎれ雲飛ぶ春近し夕焼けて

一枚の手漉きの和紙に綴りたきことありましたあなたへ

春日に目覚めます言葉飲み込んで朝日眺めます

若き日想えばなんとなく綴り言葉の昼下がりひだまりの中

今日何があった日記ではなくて今日何を想った綴りたきこと

2004.1.27



生きること ものの光りいまだ消えざるうちに 想ひとけないうちに

うすずみの優しき花あり朝もやの
山は霞みて雪景色見ゆ

母の日に何もせずとも母とゐる
ぬくもり探す菜の花の色

つぶやきの眼をした雀庭にいる

たましひの露ひとつぶや花の上

2004.1.22



はつ夢の心に残る星雫面影を追う桃色つばき咲く

白息も青む空より雀飛ぶ

真冬日のひかり見ゆる梅つぼみ

日よ透る畳の奥の遺影まで

2004.1.16



薄れゆく冬明星寒ツバキ

海からの冬日まばゆき瀬戸の町

落ち葉散る寄せくる熊手にささやけり

照らされて垣ある山茶花日よりあり

2004.1.13


紙を漉くように心漉いてみるこぼしたものを見つめながら

花の夢幻の色激しさの色自分のみた夢いくつもの夢

こぼれゆく時は惜しみなく鳥は葉陰に寄り添い一途の命燃やしながら

冬の日に抜かれし命ひとときの草の強さよ根はどこまでも

2004.1.8



夢を織るはじめての夢紫紺色

流星の瞬きひとつ深き空

枯れ野あるか細きススキ暮色かな

2004.1.5