短 歌 俳句 一行詩
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2004.3 2004.6
夢衣重ねてまた秋が来る
新涼に花の香褪せて風の色
忘れ潮おもひは深き夏終わる
いわし雲彼岸花へと流れゐて
稲雀案山子のそばに群れなして
2004.9.21
秋の雨ふいにやさしきこころ降る
とおき冬の日髪とらはれし
ひまわりの花の高さのほほえみは
風呼ぶあの日とほき夏の日
2004.9.19
夕闇に薔薇は散りゆく蒼き月
重ね情(こころ)に星はきらめく
瑠璃の空セピアの日々よ星に舞ふ
揺れて空蒼(あお)心なるかも
海の風紅き林檎よ頬染めて
花咲く庭に朝のきらめき
彼岸花紅ほろほろとかなしみの
空を仰げばふるさと見ゆる
止めている逝った時刻の14:59
ぼんぼん時計の靜かなる時
2004.9.17
すず風にかたむく凪の波揺れて
船帰り行く秋ひとつ来る
果てしなき銀河の海に漂ひて
ひとつの祈り星のまにまに
風のこし花散る里に秋が来る
散りつつゆれて萩の花かな
儚さの命紡いで星となり
愛しき日々の思ひ出尽きぬ
れお逝きて去りにし日々は遠くなり
思い出だけは近くなりつつ
2004.9.11
流れゆく時を惜しみて青き空
藍の海行く瀬戸は輝やけり
秋という名の小包が来る
芙蓉咲く さえずり雀 足愛し
風に落つ 紅色芙蓉 房のまま
月涼し 星ひとかけら 花ひかる
2004.8.18
涼しさや打ち水すれば一つ星
思ひ出は百日紅咲く風かほる
花石榴窓辺にひとつ風の色
月見草単線線路ひとり咲く
長き髪十指刺しこみ梳かされて
引き寄せられし映画のシ−ン
2004.8.12
初物の無花果ひとつ蝉の声
棺の父に笑顔がありて
木漏れ日にもつれゐし蝶風緩し
暑き夏飛び交う蝶の去りゆけば
思ひがけなき哀しみの湧く
思ひ出はカンナ咲く頃真紅なり
合歓咲いて朝露涼し夜明け前
2004.8.6
甘き風頬にひとつ受けた時心に吹いた時あの頃の愛
瀬戸凪ぎの海辺に見ゆる夕焼は心へ音たてて沈みゆく
さらさらと時は流れて心も流されてそよ吹く風よみどり風
木漏れ日の静かなる、時はこぼれて落花ある、ひとつの花紅(くれない)の花
2004.8.3
池の下くれなゐにほふ野辺の花
風さそう路木々のしずくある
この花に一言葉(ひとことば)あり胸の中
言(こと)ぞ隠(こも)れる風に揺られて
み空行く月の光見ゆいにしえの
星さえ蒼く瞬き止まず
2004.7.31
まひるまの小さき池に集い咲く
土手ひとなだり野の花の白
夏ひかりまぶしき空に雲ひとつ
棺の父の出でてゆく刻
おかっぱ頭の我と父幸色(さいわいいろ)の午後のひだまりあの頃の愛
2004.7.26
朝顔は夜明けのメッセ−ジ宇宙(そら)からの声
光を浴びて落ちてくる
心が留守になった時月光が降る風鈴が鳴る夜更けにて
さやさやとレ−スのカ−テン揺れるティ-カップ磨いてみる
木陰行くさみどりひかりブラウスの中ひっそり入りくる
ラムネ飲む幼き日ありはつ夏よ祭りの音に瞳輝き下駄の音さえ軽やかに
ひととせはかりそめ姿藍浴衣
黄色の蝶の帯結ぶなり
ゆめに散る花ことごとく淡き色
ひとり花咲く夕顔やさし
2004.7.23
夏輝いてヒマワリの道駈け上がれば青き空見ゆ若きの日の空に似て
水たまりいくつも跳んで小学生あの日の靴の白さどこかに見える雨上がり
夕食の片付け済めば私はわたしの顔になる主婦の終わりの時間
夕光(ゆふかげ)の中に優しく花咲けば星くずさらに増えており
2004.7.16
ぬばたまの夜に更けゆく星月夜
髪を梳かせば花ひかりおり
星降りてものの香ふふむ愛逢月
風はさやかに花花眠る
風かほる白桃の実り空は青
海の街から届けたし味
2004.7.9